女の視点・論点 08・12・26
2009年 03月 07日
思い起こしのチカラ
「もう一度ワタシ発見」と銘打って、自分史講座を続けています。
といっても、書き方・綴り方の座学ではありません。受講される五十代から九十代の地域の皆さんが、対話しながら「思い起こしのチカラ」「聴くチカラ」「書くチカラ」をバランス良く養い、これからに繋(つな)げて頂けるようなワークショップ・プログラムなのです。
今年は変化の年でした。関心を持っていた「回想法」を学び、「なつかしい物たち」が記憶の思い起こしを大いに助けてくれる事を体感したのです。講座に役立てようと、昭和時代に使われた、生活道具などをお借りしました。
たとえば「洗濯板」。
「なつかしいものをお持ちしました。これご存知ですか」と私。すぐさま「たらいと一緒に使うねん」と洗い方を再現されます。
「7才の時から洗濯してた。手が擦り切れたわあ」と、手をさすりながら語る方。あちこちから勢い良く、声が、笑いが、動きがおこります。
たとえば「火のし」。
「スミを入れてアイロンとして布団とかに使うてたよ」
「温度チェックの方法は?」と私。
「(指をあてながら)こうやって、チュ、と言うたら丁度いいねん」と、教えて下さいます。
まるで土星のワッカのように、一人の言葉から繋がり拡がり、つられて、つい「思い起こし」てしまう皆さん。
暮らした場所が違っても、年代に差があっても、想い出を分かち合える。仲間ができ、書く孤独を乗り切れる。モノはすごい。でも人はもっと魅力的で奥深い。
これからも、この思い起こしの時間と空間を仕掛け、地域で眠るなつかしいモノも発掘し、保管できる取組みもできれば・・・。
(小林 由紀子)
by mako0491
| 2009-03-07 13:06
| 女の視点