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わかやま新報女性面 (月一回金曜日)記事を発信-NPO法人「和歌山コミュニティ情報研究所」の女性スタッフが取材・編集を担当


by mako0491

287 視点ハワイ

  
  ハワイの深い歴史知る

  コロナが流行してからというもの、すっかり遠い存在になっていた海外旅行ですが、学会での研究発表のため、ホノルルに行くことなり、久しぶりにパスポートを手に渡航しました。お正月にハワイなんて、まるで芸能人のようですが、マスクもせずバカンスを楽しんでいる観光客を横目に、スーツを着て真面目に勉強してきました。常夏の楽園やリゾートといったハワイのイメージとは違った側面をご紹介したいと思います。

 ハワイは太平洋のほぼ中央に位置する火山列島です。先住民は紀元前から住みついているポリネシアという民族のようですが、15世紀頃に3,000キロ以上離れたタヒチからポリネシア人が海を渡り移住しました。その後、18世紀終わりにカメハメハがハワイを統一したことはよく知られるところです。

 ハワイの言葉に、土地を意味する「アイナ」という言葉があります。ハワイの人々にとって「アイナ」は単なる土地でなく、大地と海が含まれ、人々に食べ物を与えてくれるという恵への感謝や、自然と人々の身体や精神とのつながり、先祖とのつながりをも意味するようです。そのため、土地を所有するという概念がなく、先住民は土地を奪われ、抑圧されてきました。その歴史の果てには、多くの軍事基地をもつ現実が今なお楽園に影を落としています。

 学会で最も印象的だったのは、ハワイ大学の研究者が真珠湾攻撃について日本人を責めるのではなく、攻撃されたのは軍事基地があったからだと、土地を奪い基地をつくったアメリカ支配を問題視していたことです。一方で、軍への経済依存は観光産業に次ぐ第2の産業として人々の暮らしを支えているのも事実。基地問題が投げかける矛盾は世界共通の課題なのでしょう。新たな年頭に、自然とのつながりに感謝して、ハワイの人々が大切にしてきた「アイナ」の深みを考えたいものです。

                                         (石井敦子)

by mako0491 | 2023-02-06 18:17 | 女の視点