わかやま新報女性面 (隔週金曜日)記事を発信-NPO法人「和歌山コミュニティ情報研究所」の女性スタッフが取材・編集を担当


by mako0491

7.20《男の独り言》楽器と私


奇妙な楽器でステージに立つ私

嫌らしいことに、ステージで、自己紹介となると「私は当年、82歳で」などとエレキ・ウッドベースを肩で支えながら、話している。老人・福祉施設で演奏することが多いのに、自分の歳を自慢したいのである。

 エレキ・ウッドベースなどという楽器は一般の人にとっては珍しい。通称、「カマキリ」、コントラバスの変わり種である。ましてや高齢者の集まる会場では尚のこと、視線がそこに集まることを知っての自己紹介なのである。

 私のフォーク・バンド仲間は4人。ドラムとキーボードは女性、ギターはボーカルを兼ね、そのグループ・リーダーを務める。すべてのメンバーは定年や、子供の養育から解放され、自分の趣味の世界で生活を楽しんでいる人たちである。

 月2回の練習日は、地域のコミュニテイー・センターで開き、時間の大半は最近の情報交換で終わってしまうが、その時間も楽しいのである。

 隔月ぐらいでお呼びのかかるお定まりの施設や、臨時に注文の入るところも多く、結構訪れる回数は多い。もちろんボランテイアで、お茶菓子だけご馳走になって帰る。

 演奏する曲目をその都度考える。季節によって、また施設の入居の方々の年齢層によって、変化をつけ、少しでも皆の思い出を引き出せそうな曲を相談して決める。曲目が決まれば、楽譜探し、演奏の仕方、などの打ち合わせに進む。結構、音を出すまでには段取りが要る。しかしそれもメンバーの楽しみなのである。時には、「次回来る時にはこの歌を」とリクエストもある。フォークばかりではなしに、演歌、民謡にまで広がる。「みんなで楽しく歌おう」がモットーなのだから。

どの会場でも、始めは盛り上がらない。3曲もやれば、大きな声が出始める。まず女性の声が響き始め、後半になると男性の太い声も加わる。最後に、「リクエスト!」と大声で叫んでくれるのも男性が多い。「昔とった杵柄(きねづか)」、歌うことに自信を持っている人なのだろう。 顔を上げ、目を輝かせている方々の表情に、それぞれ辿ってきた人生が見えてくるようだ。

 「歌う」って不思議なものだ。一つのメロデイーと歌詞に集約され、思い出の中に自分自身も包み込まれていく。自己顕示欲も、許され理解されていく世界なのだ。幸せなひと時なのだ。今を生きている自分を思う。  (久山 みのる)


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by mako0491 | 2018-07-24 17:57 | オトコの独り言