和歌山に暮らす外国人妻
2018年 06月 14日
6.8付け
森 ソルさん(フィリピン出身)
日本の肝っ玉母さん
ソルさんは、来日して35年。フィリピンで生まれ育った年月よりも長くなる。この35年の歴史を聞いた。
銀行の電話交換手をしていたソルさんが、仕事でフィリピンに来ていたご主人と、知人の紹介で会ったのは、ソルさんが23歳の時。
意気投合した二人は、ご主人が仕事でフィリピンに来るたびに会い続け、ついに1983年6月、ソルさん29歳の時に結婚、11月に来日した。
ここからソルさんの日本での奮戦記が始まる。
フィリピンでは、車に乗る時ドアを開けて乗せてくれて後で閉めてくれていたのが、日本に来たとたん、運転席に座ったまま。荷物はほとんど女性が持ち、男性は手ぶら。パーティーなどには夫婦二人で出かけるのに、夫は一人だけで出かける。部屋の中に亡くなった人の写真がずらりと並んでいるのが怖くて眠れなかったこと、またフィリピンではエプロンをつけるのはメイドさんだけで主婦はつけないから、エプロンをつけることに抵抗があったこと等、習慣や価値観の違いに戸惑った。
ソルさんは、生花業を手広く営むご主人の会社の仕事をし、教会に行き、子どもやご主人、両親の世話をし、そして家事もこなしてきた。朝5時に起きて、しまい風呂に入って12時に寝るまで目まぐるしく動き回る生活が何年も続いた。その間、両親を見送り二人の息子を立派に育て上げ、家族のために一生懸命に働いてきた。
今は二人の息子たちも社会人となり独立したので、エステティシャンの資格を取得し、自宅でサロンを開いている。
今では、昔感じた習慣や価値観の違いを感じることも少なくなった。
今日まで頑張ってこられたのはやはりご主人と強くしっかりした絆で結ばれているからだと感じる。穏やかな物腰と口調の中に、芯の強さを秘めたソルさんと話していると日本の肝っ玉母さんが浮かんでくる。現に日本人男性と結婚したフィリピン女性はソルさんを頼ってよく相談に訪れると言う。
ちなみにフィリピンの女性が男性を見るポイントは手と歯だそうで、手でどんな仕事をしているか、歯でどんな家庭で育ったかを推察するらしい。歯が生え変わったころに歯並びを矯正し、ペーストの上に塩を振りかけて歯を磨くらしい。筆者もピカピカの歯を目指してこの塩振り歯磨き法を実践中。(いささか手遅れであるが)
反対に男性は女性の笑顔を見るそうです。
ソルさんは「今は平気でエプロンをつけてますよ」と白いきれいな歯を見せて、にっこり微笑んでくれた。
(林 多恵子)