新人看護師のこれからの課題語り合う
2016年 12月 30日
看護師という職業の離職、人材不足、業務の大変さ、報酬面の問題など社会的な問題になっている。和歌山県立医大保健看護学部講師の石井敦子さんに、新人看護師の立場にある教え子たちとの話など中心に報告してもらった。
名古屋での会に卒業したゼミ生たちと一緒に参加しました。大学4年生だった去年、約1年かけて研究した成果を学会で発表するための参加でした。
ゼミ生たちに会うのは卒業以来でしたので、どんなに成長しているか、私としても大変楽しみでした。
ゼミ生たちは、それぞれ看護師として病院に就職しています。一般的に社会人1年目は、慣れない場所や人間関係のなかで、社会人としてのルールや仕事で覚えることなどがたくさんあり、厳しい現実社会に直面してストレスや無力感を感じることが多いものです。
学生時代に臨床実習を積み重ねてきた新人看護師であってもそれは変わりません。新人看護師がまず戸惑うのは「理想」と「現実」とのギャップに遭遇することでしょう。
・夜勤など変則生活
これまで看護師になるために、たくさんのことを学んできていますが、その実践はなかなか教科書どおりにはいきません。
実習では、一人の患者さんを受け持ち、じっくりと患者さんに向き合い、看護について考えることができますが、実際の現場では、同時に何人もの患者さんを受け持ち、いくつものことをしなければなりません。
医療や看護の世界は人の命に関わる現場であるだけに、新人看護師とはいえ、担う責任は決して軽いものではありません。
そんな現実に、少しは慣れてきたのか、限界を感じているのか。就職して8ヶ月が経過した名古屋での再会でしたが、ゼミ生たちの顔には社会人になった自覚と日々の頑張りを窺わせる逞しさがありました。
もちろん多分に漏れず、リアリティショックは感じているようで、いかに学生時代が守られていたか、いかに自分が何もできず不甲斐ないかを思い知らされる毎日だそうです。誇らしくもあり、微笑ましくもあります。
・多くのこと経験を
新人看護師の早期離職が一つの社会的問題となっている昨今、リアリティショックを緩和することに目が向けられがちでありますが、リアリティショックを感じない環境をつくることよりも、ショックを乗り越える力を育むことが大切ではないかと思います。
早いもので、そんな「新人看護師」と呼ばれる時期も残すところ、あと3ヶ月。新人看護師の強みは、尋ねることができることです。わからないことはしっかり聞いて、新人看護師と呼ばれるうちに多くのことを経験してほしいと思います。
知識と経験を積み重ねる。その努力は、最終的には患者さんの命を守ることにつながります。さらには、それが自らの自信となる日が来ることを信じて頑張ってほしいものです。