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わかやま新報女性面 (月一回金曜日)記事を発信-NPO法人「和歌山コミュニティ情報研究所」の女性スタッフが取材・編集を担当


by mako0491

“串柿の里”を後世に かつらぎ町四郷の挑戦

4つの軸を伸ばし、人を呼ぶ

串柿、太鼓、体験、食品加工

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近年よく耳にする「地方創生」。地方の人口減少、超高齢化に歯止めをかけ、各地域がそれぞれの特徴を生かして経済や暮らしを活気づけようという我が国の政策だ。和歌山県は全30市町村のうち16市町村が過疎地域であり、自治体や住民による人口減少対策が急務とされている。そこで今回は「小さな町でもキラリと光る試み」と題し、かつらぎ町四郷地区の取り組みにスポットを当てたい。


 県北東部に位置する伊都郡かつらぎ町。「四郷」は町北部にある4つの郷「広口」「滝」「東谷」「平」が集まった総称で、大阪との府県境の山間部にあり、標高500Mの高原に位置している。冬に冷たく乾いた風が山から吹き下ろすという気候が串柿づくりに最適で、“串柿の里”として有名だ。



 また文化面でも西国街道の要衝にあり、大阪との交流も盛んだったため旅館や両替屋が多く、古くから栄えてきた地域でもあった。

 しかし地域も高齢化が進み、人口減少の波が襲っている。現在の人口は180世帯600人であり、主産業である串柿づくりの担い手も減少してきた。


【助成受け活性化へ】

 そんな中、平成25年度より県の「過疎集落支援総合対策事業」の助成金支援を受け、四郷地区の活性化プロジェクトが始まった。グループは「“四郷”が“喜び”あふれた地域であるように」との想いを込め「四喜の会」と名付け、様々な取り組みを行って、集落づくりの土台をつくりあげていった。

 

《さまざまな活動》

人口減少により廃校となった四郷小学校を公民館に改装。四郷千両太鼓の練習や活動に使われている。公民館は生涯学習教室や子どもたちの発表の場などにもなっており、地域交流の拠点となっている。

具体的には、以下のグループに分け四郷の活性化を図っている。

観光の語り部

 来訪者を案内する語り部を育成。語り部ではハイキング、串柿づくりの見学や四郷の歴史を学ぶことができる。

体験活動

 手づくりのピザ釜でピザ作り体験や、木工づくりは子どもたちに好評。もちろん串柿づくりの体験も。

食品加工

 地域特産の食べ物を使って商品開発。これから活動予定。

 行政による支援は年で終わったが、これからは自立した運営をグループ一丸となって進めようとしている。「串柿と太鼓の里」を後世に残すため、活性化の担い手(特に若手)を増やしたいそうだ。

来年月には道の駅もオープンする。さらなる観光客の増加が見込める。新たな地域交流の場として大きな役割を担うだろう。


【若い女性受け入れ】

地域創生が目指すのは地域の人口減少に歯止めをかけること。四郷は古くから大阪との交流が盛んだったため、外からの住民の受け入れには寛容だった。かつての賑やかな地域を取り戻し、きれいな風景を後世に残すためには、外から来た人の意見や考えなど積極的に取り入れることも大切だ。そこで地域おこし協力隊として若い女性も受け入れ、地域づくりの一端を担ってもらっている。


四喜の会の今後の展開については、活動を軌道にのせ、主産業の串柿をはじめ、地域の仕事をつくり担い手を育成することで人口を増やし、最終的には地域の暮らし・営みとしての風景を残すことが目標だという。


四郷の人の特徴から、地域づくりに様々な可能性が期待できるかもしれない。地理的にも都会とのアクセスもよく、近くは大阪和泉市とをつなぐトンネルが開通予定だ。「都会に近い日本の原風景」として、田舎暮らし体験をしたい若者の受入れも可能になるだろう。


【地域の特性伸ばして】

地域創生を継続して行っていくには地元住民同士の協力はもちろん、地域性を活かした取り組みや、外からみた地域の視点を取り入れること、そして何より地域を愛する心が重要なのではないかと四郷の取り組みを通して見えてきた。


《四郷千両太鼓

 四郷には古くから伝わる「千両踊り」という伝統芸能がある。例大祭で豊作無事を祈り奉納されてきたが、いつしか踊られなくなったそうだ。しかし昭和58年、踊りを後世に伝えようと地元の有志たちが「千両踊り保存会」を立ち上げ復活させた。平成元年からは、千両踊りに使われる太鼓演奏をメインにした「四郷千両太鼓」という活動を行っている。「千両踊り保存会」の流れを継承して始まった活動だ。


 今では地域行事として浸透しているが、その歴史をひも解くと四郷の伝統を引き継ごうとする先輩達の尽力がある。四喜の会では、この四郷千両太鼓を柿に並ぶもう一つの名物として魅力発信を行っている。都市部にも出張で演奏する機会もあるそうだ。



by mako0491 | 2016-12-03 01:28 | アタマ記事