わかやま新報女性面 (隔週金曜日)記事を発信-NPO法人「和歌山コミュニティ情報研究所」の女性スタッフが取材・編集を担当


by mako0491

宮古島のお酒の文化体験

「御通り」ーー口上述べて泡盛まわし飲み

 沖縄本島から南西に約300キロメートルに位置する宮古島を訪れた。調査研究の一環だったが、大学2年生の女子学生を2人連れて行くことになり、学生たちと現地集合することにした。

 私が仕事の関係で1日遅れて宮古島に飛んだ日はあいにくの天気で飛行機も積乱雲が消えるまでしばらく上空で待機しての到着となった。先に宮古島に入った学生たちは見知らぬ土地で心細くなかっただろうかと心配していたが、それはどうやら杞憂だった。
 
 悪天候で予定していたシュノーケリングができなくなった学生たちは、地元の方のご好意で自宅に招いてもらいバーベキューをご馳走になったようだ。

 自分にもそんな若い頃があったように思うが、改めて学生たちの若さを感じながら、宮古島のいろんな機関を訪れた。すると、どこを訪れても宮古島の方々はとても温かく、おおらかな笑顔と気さくな人柄で私たちを受け入れ、島の人々の暮らしを語ってくれるのであった。
 
 最も興味深かったのが「御通り(おとーり)」という宮古島のお酒の文化である。宴の参加者で「御通り回します」と言い出した人が「親」になり、親は立ち上がり「口上」を述べる。口上は宴会の主旨や私たちのような外から来た者を歓迎する気持ちなどを面白おかしく語られるのである。

 そして、杯に泡盛を注ぎ、隣の人に回す。注がれた人はそれを飲み干し、杯を親に返すと、その次の隣の人に注がれる。そうして一巡すると杯は親に戻り、親は返杯を受け、感謝を込めて締めの挨拶をする。

 驚くことに、この一連の儀式がこの一巡で終わらない。また別の人が親になり同じ流れで御通りが回る。宴の参加者は、皆一度は親にならなければいけないらしく、お酒の量もさることながら、口上を用意することも大変なことである。しかし、口上に耳を傾けられることで皆何かを語り、またその語りを静かに聴くことで人と人の距離が縮まるのである。

 「御通り」文化にもまた、どんな人も受け入れようとする宮古の人の温かさを感じるのであった。
          (石井 敦子)
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by mako0491 | 2016-08-27 17:33 | 女の視点