人気ブログランキング | 話題のタグを見る

わかやま新報女性面 (月一回金曜日)記事を発信-NPO法人「和歌山コミュニティ情報研究所」の女性スタッフが取材・編集を担当


by mako0491

突然死防ぐには

救命のカギは3つのプッシュ
119番→胸骨圧迫→AED

突然死防ぐには_e0171960_212124100.png 胸部2か所に電極パッドを貼る→
 
 健康そうな人が突然倒れて息を引き取る突然死。国内での突然死は年間9万~10万人に上るともいわれる。睡眠中や入浴中のほか排便中や運動中なども多い。目の前で人が倒れ意識がない場面に遭遇したら――。救命のカギを握るのは迅速な3つのプッシュ。まず119番、次いで胸骨圧迫(心臓マッサージ)、そしてAED(自動体外式除細動器)のボタンプッシュだ。(高堀琴世)

「6割が心臓系疾患」
 突然死の原因で最も多いのが心臓系疾患で全体の約6割。くも膜下出血などの脳疾患と、不明・その他がそれぞれ約2割。中高年の突然死には急性心筋梗塞(こうそく)など虚血性疾患によるものが多い。梅田で起きた車の暴走事故で、運転していた中年男性の死因は心臓近くの太い血管が裂けて出血する大動脈解離だった。

 若年層に多いのは肥大型心筋症。心筋が厚くなって、その分心臓内部の空間が狭くなり血液量を送り出せなくなるもの。野球やサッカーボールが胸を直撃して起こる心臓震盪(しんとう)による突然死も学童、青年男子に多い。

「救命率1分毎に10%低下」
 心筋梗塞や心筋症による突然死でよく起こる症状が「心室細動」と呼ばれる致死性不整脈。原因が分からず長年〝ぽっくり病〟と呼ばれていた夜間就寝中や安静時の突然死の多くも心室細動が原因。心電図で特徴的な波形を発見した医師名から「ブルガダ症候群」と呼ばれている。
 
 心室細動は血液を全身に送り出す心室が小刻みにけいれんするもので、心臓はポンプの役割を果たすことができなくなってしまう。心臓が止まると救命率は1分毎に10%ずつ低下する。時間との闘いだ。 
 
 2015年版「消防白書」によると、119番通報から救急車到着まで全国平均で8分36秒。救急隊が着くまで手をこまねいていれば、助かっても脳が酸欠状態になり後遺症が残る。

 東京マラソン(今年2月で10回目)ではこれまでに7人が心肺停止となったが、全員一命を取り止めた。お笑いタレント松村邦洋さんもその一人。2009年の大会に出場し15㌔付近で倒れたが、異変に気付いたランニングドクター(市民ランナーの医師)の迅速な救命処置で助かった。ほぼ1㌔おきにAEDを持ったボランティアが待機していたことも幸いした。
 
 AEDは心室細動で心停止状態になった心臓に電気ショックを与えて蘇生させる装置。人が倒れたら、119番するとともにAEDを手配し、それが届くまで心臓マッサージを続ける必要がある。

「音声の指示に従って」
 マッサージは胸部の両乳頭間に手のひらを重ね、1分間に100回の速度で強く押す。目安としてよく例に挙げられるのが童謡「あんたがたどこさ」。AEDが届いたら、自動音声の指示に従って胸に2つの電極パッドを貼りショックボタンを押す。

 パッドを貼る際、胸部が汗で濡れていたら素早く拭き取る。ボタンを押すときは患者の体に触れないこと。電気ショック後も救急車が到着するまで心臓マッサージを続ける。

 AEDは公共施設や学校、駅、商業施設など人が多く集まる場所には設置ずみ。和歌山県はホームページで県内9市6郡ごとに設置施設を一覧表で紹介している。

 最近、埼玉県や静岡県などでコンビニにAEDを置いてもらう動きが広がってきた。宝塚市が2014年から5年以内のコンビニ全店への導入を目指している。和歌山県内でもいずれコンビニなどにも広がるに違いない。

 県内の自治体や消防局はAEDの取り扱い方法や心肺蘇生術を指導する救命講習会を開いている。和歌山市消防局でも新年度に普通と上級2コースの講習を計画中。普通講習(3時間)は4月23日(土曜)を皮切りに計6回開く予定で参加希望者を募っている。
by mako0491 | 2016-04-12 21:46 | アタマ記事