教育と医療の時代変化について
2016年 03月 31日
石井敦子・和医大講師に聞く
看護系学部・学科
3.3大学に1校
「死の質」考えることが大事
和歌山県立医科大学の保健看護学部で講師として教鞭をとる石井敦子氏。今回、NPО関連の会で「教育と医療の時代変化」を話してもらった。ポイントは①大学の看護系学部・学科の増えている理由②疾病構造の変化③「クォリティ・オブ・デス」を考えることも大事ーーなどである。
(中村 聖代)
【女子教育の発展】
NHK連続TV小説「あさが来た」の番組が今週末で終了する。女子に教育は不要、男尊女卑の考え方が最近まである。女子教育の重要性を訴え、女子行員の採用や、女子大学の設立に尽力したのが廣岡浅子(あささん)であった。
少子化を迎え、大学全入時代に突入した受験生たち、選ばなければどこの大学にも入学できるようになった。男子はもとより、女子も4年制大学に通うのが普通になった時代と言える。
ひと昔前は看護師になるには、専門学校に行くのが普通だったが、大学の看護系学部・学科がこの20年で約20倍に増えた。学生募集を行っている日本の大学数は758大学、そのうち看護学科のある大学数は228大学、なんと3・3大学に1校の割合である。「女性のキャリア意識と資格志向の高まりがあるのでしょう」
【死亡の原因・場所など】
大学の事情だけでなく、医療事情も変化している。医療の進歩によって、罹患した患者の生存率が格段に上がっている。ご存じの通り、日本は超高齢化社会に入り、2025年には団塊の世代が、後期高齢75歳以上になり、2039年には年間167万人が死亡するいわゆる多死社会を迎える。約8割の患者が病院で死を迎えるという日本の現状では、数的にも圧倒的に足りない。
【死因別死亡数の割合】
平成26年度の死因別死亡数(別表)によると、約3割が悪性新生物つまりがんで、次に心疾患、肺炎と続いている。3番目の肺炎は、老化が原因となる誤燕性肺炎によるものがほとんどである。
西洋医学の父ヒポクラテスによる「患者の死を考える医学はありえない」との教えもあり、死がタブー化され、生きている時間が長いことに意義があるとする医療者もいるという。だが、石井さんは大切なのは死の質だと考えている。
私たちのほとんどは、「少しでも延命できるように、あらゆる医療をしてほしい」、というより、「延命のみを目的とした医療は行わず、自然に任せてほしい」、と考えている。ところが、実際は、家族がご飯を食べられなくなった、となれば病院へ連れて行き、チューブをさしたりしている。「自然に任せる」という意味を本当に考えているのかというところに疑問が残る。
石井さんは続ける。「がんはある程度余命が測れるが、残りの3分の2の非がんによる死は予測できない」。大切なのは死とどう向き合うか。クオリティ・オブ・ライフ(QOL)という考え方から発展してクオリティ・オブ・デス(QOD)について考えることも大切なのではないでしょうか?」
私たちの人生とは、死へ向かう道を歩むことに他ならない。自分の人生の終着点である死の時について考えることは、どう生きるかを考えることと同義でもある。
【理想の亡くなり方】
例えば、
・最期の日にあなたがいる場所はどこでしょうか?
・最後の食事で何を食べましたか?
・亡くなる時の季節は?
・亡くなる時に、あなたの周囲にはどのような人が集まっていますか?
・最後に声をかけてくれる人は誰だと思いますか?
・謝っておきたい人はいますか?
ーーなどなど、質問項目はまだまだ沢山ある。こうした「理想と思える亡くなり方」を迎えられるような生き方をしているか。そのために何をすべきか?何が必要で何が不要かを考えていくことにしたい。
・NHK朝の連続TV小説
「あさが来た」・
ヒロインあさのモデルは、実業家・教育者・社会運動家廣岡浅子。江戸時代後期1849年生まれ、ペンネームは九転十起生(きゅうてんじっきせい)。日本初の女子高等教育機関(日本女子大学校)の創立にも携わる。
女性が社会で活躍するのが難しかった明治初期から大正の時代に活躍、女傑・女実業家として高い評価を受けた。半面、そうした強い女性像が一般的でなかった当時は狂人扱いされてしまうこともあったらしい。
※ドラマでは姉はつの家族も並行して語られ、舞台となるのは有田のみかん山。和歌山弁がふんだんに出てくる。東京と大阪の洋風な街並みとしてポルトヨーロッパがロケ地に使われた。
看護系学部・学科
3.3大学に1校
「死の質」考えることが大事
和歌山県立医科大学の保健看護学部で講師として教鞭をとる石井敦子氏。今回、NPО関連の会で「教育と医療の時代変化」を話してもらった。ポイントは①大学の看護系学部・学科の増えている理由②疾病構造の変化③「クォリティ・オブ・デス」を考えることも大事ーーなどである。
(中村 聖代)
【女子教育の発展】
NHK連続TV小説「あさが来た」の番組が今週末で終了する。女子に教育は不要、男尊女卑の考え方が最近まである。女子教育の重要性を訴え、女子行員の採用や、女子大学の設立に尽力したのが廣岡浅子(あささん)であった。
少子化を迎え、大学全入時代に突入した受験生たち、選ばなければどこの大学にも入学できるようになった。男子はもとより、女子も4年制大学に通うのが普通になった時代と言える。
ひと昔前は看護師になるには、専門学校に行くのが普通だったが、大学の看護系学部・学科がこの20年で約20倍に増えた。学生募集を行っている日本の大学数は758大学、そのうち看護学科のある大学数は228大学、なんと3・3大学に1校の割合である。「女性のキャリア意識と資格志向の高まりがあるのでしょう」
【死亡の原因・場所など】
大学の事情だけでなく、医療事情も変化している。医療の進歩によって、罹患した患者の生存率が格段に上がっている。ご存じの通り、日本は超高齢化社会に入り、2025年には団塊の世代が、後期高齢75歳以上になり、2039年には年間167万人が死亡するいわゆる多死社会を迎える。約8割の患者が病院で死を迎えるという日本の現状では、数的にも圧倒的に足りない。
【死因別死亡数の割合】
平成26年度の死因別死亡数(別表)によると、約3割が悪性新生物つまりがんで、次に心疾患、肺炎と続いている。3番目の肺炎は、老化が原因となる誤燕性肺炎によるものがほとんどである。
西洋医学の父ヒポクラテスによる「患者の死を考える医学はありえない」との教えもあり、死がタブー化され、生きている時間が長いことに意義があるとする医療者もいるという。だが、石井さんは大切なのは死の質だと考えている。
私たちのほとんどは、「少しでも延命できるように、あらゆる医療をしてほしい」、というより、「延命のみを目的とした医療は行わず、自然に任せてほしい」、と考えている。ところが、実際は、家族がご飯を食べられなくなった、となれば病院へ連れて行き、チューブをさしたりしている。「自然に任せる」という意味を本当に考えているのかというところに疑問が残る。
石井さんは続ける。「がんはある程度余命が測れるが、残りの3分の2の非がんによる死は予測できない」。大切なのは死とどう向き合うか。クオリティ・オブ・ライフ(QOL)という考え方から発展してクオリティ・オブ・デス(QOD)について考えることも大切なのではないでしょうか?」
私たちの人生とは、死へ向かう道を歩むことに他ならない。自分の人生の終着点である死の時について考えることは、どう生きるかを考えることと同義でもある。
【理想の亡くなり方】
例えば、
・最期の日にあなたがいる場所はどこでしょうか?
・最後の食事で何を食べましたか?
・亡くなる時の季節は?
・亡くなる時に、あなたの周囲にはどのような人が集まっていますか?
・最後に声をかけてくれる人は誰だと思いますか?
・謝っておきたい人はいますか?
ーーなどなど、質問項目はまだまだ沢山ある。こうした「理想と思える亡くなり方」を迎えられるような生き方をしているか。そのために何をすべきか?何が必要で何が不要かを考えていくことにしたい。
・NHK朝の連続TV小説
「あさが来た」・
ヒロインあさのモデルは、実業家・教育者・社会運動家廣岡浅子。江戸時代後期1849年生まれ、ペンネームは九転十起生(きゅうてんじっきせい)。日本初の女子高等教育機関(日本女子大学校)の創立にも携わる。
女性が社会で活躍するのが難しかった明治初期から大正の時代に活躍、女傑・女実業家として高い評価を受けた。半面、そうした強い女性像が一般的でなかった当時は狂人扱いされてしまうこともあったらしい。
※ドラマでは姉はつの家族も並行して語られ、舞台となるのは有田のみかん山。和歌山弁がふんだんに出てくる。東京と大阪の洋風な街並みとしてポルトヨーロッパがロケ地に使われた。
by mako0491
| 2016-03-31 11:13
| アタマ記事