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わかやま新報女性面 (月一回金曜日)記事を発信-NPO法人「和歌山コミュニティ情報研究所」の女性スタッフが取材・編集を担当


by mako0491

母が肝臓がんでホスピスへ

7.10日掲載
終末医療、そして最期は・・・

  20年以上前に父を肺癌で亡くした。その時父は65歳、まだまだ若い年代だ。その時分は総合病院も長く入院できた。家にいるより病院の方が安心できると本人も母親も望み、最後は病院で心臓マッサージを受けた後逝った。父親は自分が癌であることを知らなかった。

 今、母親は肝臓癌でホスピスに入院している。肝硬変から肝臓癌になって国立の医療機関で治療・入院をした後、長く月に一度の割合で通院していた。普通は数か月に一度なのに、短いスパンで診てくれていたと思う。

 医師から「高齢でもあるし、身体の負担が大きいので積極的な癌治療を行わない方が良いのでは」と言われた。また延命治療を受ける意思があるか尋ねられ、本人は拒否した。

 国立の総合病院は急性期の患者のためにあり、長期療養を目的とした入院はできない。通院できているうちは良いが、動けなくなったときにどうするか、どういう終末を迎えればよいのか考えざるを得なくなった。

 「取り越し苦労」「まだまだ早い」という人一倍気丈な母親の声を背中に聞きながら、複数のホスピスに相談した。数ヶ月以上前のことだ。

 緩和ケアを受けるためには、本人が病名や病状を正しく理解しているのが条件。さらに病床数が少なく、タイミングが難しいのが現状だった。

 転んだのをきっかけに近くの病院に入院。折も折、腹水が足にも溜まってむくみ、歩けなくなった。まだ本人は国立の医療機関に入院したいと望んだ。ホスピスには程遠いと考えていたのだろう。

 そして幸いにも転院ができた。意識がしっかりとし、まだまだ気丈な母だが、信じる宗教の病院で、幸せな時を過ごせていると思う。

 母は動けないが、同じ病棟で美しく化粧をし、凛とした患者さんを見た時、自分も母や彼女のような最期を迎えられたらと切に願った。
                                 (清川 純子)
by mako0491 | 2015-07-09 14:15 | 女の視点