わかやま新報女性面 (隔週金曜日)記事を発信-NPO法人「和歌山コミュニティ情報研究所」の女性スタッフが取材・編集を担当


by mako0491

「嗅覚障害」  中高年中心に患者増加

2.6掲載

風邪やインフルエンザ
の感染後にも

 最近においがよく分からない、何をかいでも同じようなにおいがする――。そんな人はもしかしたら「嗅覚障害」かもしれない。高齢化や花粉症、アレルギー性鼻炎患者の増加に伴って、嗅覚の異常を訴える患者が増えている。嗅覚障害は風邪やインフルエンザの感染後に起きることも多い。原因も症状も様々。鼻がおかしいなと感じたら、早めに耳鼻咽喉科に受診を!(高堀 琴世)
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・いい香りが嫌なにおいに!
  嗅覚障害はその症状の程度によって、嗅覚減退や嗅覚脱失と呼ばれる。減退はにおいが分かりにくい状態。さらに進むとにおいが全く分からない脱失となる。

 症状にはいい香りを嫌なにおいに感じたりする「異臭症」、においに敏感に反応し頭痛や吐き気を催す「嗅覚過敏症」などもある。
 
 鼻から入ったにおい分子は鼻腔の天井部分にある嗅上皮の薄い粘膜に付着する。そこで嗅細胞によって電気信号に変換され、嗅神経を通って大脳に伝わることでにおいを感知する。

 人の嗅上皮の広さは約3~5平方cmと切手ほど。そこに約500万個といわれる嗅細胞がびっしりと並ぶ。犬は嗅上皮の広さが人の30倍以上、細胞の数も1億~2億個といわれる。シェパードなどが警察犬や麻薬犬として活躍できるのもそのためだ。

・嗅粘膜の炎症で発症
 嗅覚障害の原因には大きく分けて①嗅上皮性(末梢神経性)②呼吸性③中枢神経性――の3つがある。嗅上皮性は嗅上皮の粘膜の炎症や萎縮によってにおいを感知しにくくなるもの。風邪やインフルエンザのウイルスのほか、有毒ガスの吸引によっても引き起こされる。
 
 風邪が治って鼻の通りも呼吸も楽になったのに、においがよく分からないと病院に駆け込む人が最近増えている。この感冒後の嗅覚障害は特に中高年の女性に多い。
 
 呼吸性嗅覚障害は鼻詰まりでにおい分子が嗅粘膜まで届かないことで起きる。主な原因疾患となるのは一般に蓄膿症(ちくのうしょう)と呼ばれる慢性副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎、鼻腔を左右に分ける壁が曲がる鼻中隔湾曲症、鼻の中にポリープができる鼻茸(はなたけ)など。

・むち打ちなど頭部打撲でも
 中枢性は嗅細胞から大脳までの神経経路や嗅覚中枢の障害によるもの。最も多いのが交通事故によるむち打ち症など頭部の打撲。頭を激しくぶつけることによって神経線維が一気に切れて嗅覚が失われてしまう。

 嗅覚障害は脳腫瘍や脳卒中に伴って起きることもある。アルツハイマー病やパーキンソン病の初期症状として表れることも最近分かってきた。加齢に伴って嗅覚自体も老化していく。嗅覚は65歳前後を境に急激に鈍くなるともいわれる。
 
 嗅覚障害は同時に味覚障害を発症するケースも多い。食生活での亜鉛不足が主な原因の1つといわれる。

 ある40歳の女性は「食べたものの味がよく分からない」と近くの病院を受診したが、電気味覚計の検査では異常なし。ところが「アリナミンテスト」という嗅覚を調べる検査の結果、軽度の嗅覚障害と判明した。その女性は10日ほど前に風邪だったことも分かった。
 
 アリナミンテストはニンニク臭がするにおい物質を静脈注射し、自分の呼気からにおいを感じるまでの時間などを調べる方法。これとは別に5種類のにおいを染み込ませた紙をかいでもらったり、鼻先にスプレーしたりして嗅覚の程度を調べる「基準嗅力検査」という方法もある。

・ステロイド剤を点鼻
  治療はステロイド剤の点鼻薬とビタミン剤の内服が中心になる。先の女性もそれらの薬物療法で程なく回復し「味もにおいも元に戻った」と喜んでいたそうだ。

  重度の慢性副鼻腔炎による嗅覚障害は内視鏡を使った手術が有効。早めの投薬や手術でほぼ8割は治るといわれる。ただ、交通事故などによる頭部打撲による嗅覚障害は難治性で、嗅覚を完全に取り戻すのは容易ではない。
 
 嗅粘膜は薄く傷つきやすく、嗅細胞も壊れやすく一度壊れると、修復が難しい。ただ、少しでも早く異常に気づいて治療を始めれば、それだけ回復も早まる。

 嗅覚はふだん視覚や聴覚に比べ顧みられることが少ない。だが、嗅覚は食や芳香など潤いのある生活に欠かせないだけでなく、ガス漏れや食物の腐臭などを感知する役割も担う。日ごろから嗅覚にもっと関心を持ってほしいものだ。

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by mako0491 | 2015-02-08 00:05 | アタマ記事