わかやま新報女性面 (隔週金曜日)記事を発信-NPO法人「和歌山コミュニティ情報研究所」の女性スタッフが取材・編集を担当


by mako0491

結核は過去の病気じゃない


9.12掲載


 毎年2万人発病・2千人死亡
 
 和歌山県は罹患率が全国2位


 かつて「不治の病」といわれた結核。結核による死者数は1950年まで年間10万人を超えた。その後、抗結核剤の登場などで患者は激減。だが、発病者は今なお毎年2万人を超え、死者数も2千人強に上る。和歌山県は結核の罹患率(りかんりつ)が全国トップクラス。県健康推進課は「2週間以上、微熱やせき、たんが止まらない時は危険信号。早めに受診を」と呼び掛けている。

                                           (高堀 琴世)

e0171960_1347337.jpg

「1年に17万人死亡」
 結核を病んで若くして亡くなった人の中には有名な作家や芸術家も多い。滝廉太郎(享年23)、樋口一葉(24)、石川啄木(26)、織田作之助(33)、正岡子規(34)、国木田独歩(36)。海外でも画家モディリアニ(35)、作曲家ショパン(39)、作家カフカ(40)……。

 日本では結核が蔓延(まんえん)したピークの1943年、17万人も亡くなった。厚生労働省の人口動態統計によると、70年後の2013年1年間の結核による死亡者は2084人。1996年に初めて3000人を下回って以降年々減少している。

 また厚労省の結核登録者情報調査年報によると、昨年の新登録患者数は2万495人で(10年前の2003年は3万1638人)、人口10万人当たりの罹患率は16・1(同24・8)。結核緊急事態宣言が出た1999年以降、この2つの指標も着実に減少を続けている。

「罹患率、米の5倍」

 ただ日本の罹患率を欧米諸国と比べると、米国の約5倍、ドイツやオーストラリアの約3倍とまだかなり高い。日本が「結核の中蔓延国」といわれるのもこのためだ。結核治療に詳しいある医師は「結核の克服という点では日本は先進国に20~30年遅れている」と指摘する。
 
 罹患率を都道府県別にみると、トップは大阪(26・4)で、これに和歌山(20・6)、東京(20・1)、長崎(19・9)、兵庫(19・8)と続く。最も低いのは山梨(7・7)、次いで長野(9・1)。

 和歌山県はずっと全国平均を上回り続けている。昨年は新登録患者数が前年の185人から202人に増えたことから罹患率も前年(18・7)からアップ、大阪と東京の2大都市の間に分け入る形で不名誉な2位となった。政令指定都市では大阪市の罹患率(39・4)が飛び抜けて高い。

「乳児はBCG接種を」
 新登録患者は高齢化が目立つ。昨年は80歳以上が全体の36・1%(前年34・0%)と3分の1強を占めた。次いで70代が21・3%、60代が13・8%。一方、20代は5・8%だった。

 若年層が発病する割合は少ないものの、免疫がないため学校などでの集団感染も起きている。抵抗力が弱い乳幼児は感染すると重症になりやすい。このため厚労省は生後5~8カ月までにBCGワクチンの接種を受けるよう呼び掛けている。
 
 結核が流行していた戦中・戦後に過ごした人は多くが結核に感染しているとみられ、感染者は日本人全体の15%に上るとの指摘もある。結核は患者の咳やくしゃみの飛沫に含まれる結核菌を吸い込んで感染する。ただ感染してもほとんどの場合は免疫が働き菌の増殖を抑えるため、発病するのは1割程度といわれる。

「免疫低下し発病」
 だが、高齢化や生活習慣病などで免疫力が低下すると、菌に対する抵抗力が落ちて発病しやすい。感染から数十年後に発病することも。新登録患者に高齢者が多いのもそのためだ。昨年は新登録患者の14・5%とほぼ7人に1人に当たる2964人に糖尿病の持病もあった。
 
 ある男性(50歳)の場合、おなかに水がたまる腹水の症状を訴えて受診したところ、胸に影が見つかり、たんから結核菌も検出された。転院し精密検査。その結果、腹水は結核性腹膜炎が原因と判明。さらにHIV検査も陽性だった。このため、結核治療と並行し抵エイズ治療を行った結果、2カ月半後には退院できるまでに回復した。

「長引く咳に要注意」
 結核の標準治療期間は約6カ月といわれる。前述のケースのように発病しても抗結核剤3~4種を飲み続ければ他人に感染させる恐れがなくなって2~3カ月で退院できる。その後は外来通院で治療を続けることになる。

 大切なのは医師の指示通りに薬をきちんと服用すること。服用が不規則だったり途中で中断したりすると、薬が効かない「多剤耐性結核」や「超多剤耐性結核」になる危険性が高い。

 9月24~30日は結核予防週間。結核菌にスキを与えないためには十分な睡眠やバランスの良い食事、適度な運動が欠かせない。

 和歌山県は2週間以上咳が続く場合の早期受診と、65歳以上を対象に市町村で実施している結核定期検診の受診を呼び掛けている。
[PR]
by mako0491 | 2014-09-10 13:52 | アタマ記事