わかやま新報女性面 (隔週金曜日)記事を発信-NPO法人「和歌山コミュニティ情報研究所」の女性スタッフが取材・編集を担当


by mako0491

監獄島

 
3月1日掲載



 『監獄島(上、下)』
  加賀美 雅之著  

   光文社 1300円 
      2004年

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 刑務所で内で大がかりな陰謀が進行しているとの内部告発で、パリ警察が誇る名予審判事シャルル・ベルトランはタントワーヌ刑務所を訪れた。そこは長期刑の服役者だけを集めた断崖に囲まれた脱出不可能な監獄島だった。
 
 そこで起こる不可能犯罪。閉ざされた部屋での殺人。時計塔から吊り下げられた火だるまの絞殺死体。斧でバラバラにされた死体。血で彩られた独房。ギロチンで切断された胴体。そして最後の大ドンデン返し。これでもかの謎が充満して本格の読者を満足させる。

 上下巻で原稿用紙2400枚の大長編。大長編の好きなわたしには、応えられませんませんでした。
 パリ警察予審判事のシャルル・ベルトランを探偵役に据えていますが、アンリ・バンコランにそっくりだそうです。わたしは外国推理は読まないので知りませんが、そうなのだそうです。
 
 監獄島は、小島正樹さん(次回掲載予定の本格の新旗手)のキャッチコピーの「やりすぎ」並みの謎の連続です。
 第一の惨劇の「オルランジェ館の死」から第九の惨劇「最後の惨劇」まで、九つ。凄まじい勢いで起こる殺人劇に、手に汗を握って読ませていただきました。
 
 面白かったのですが、唯一つ理解できない箇所がありました。殺人方法ではなく、死体を下に下ろす描写です。孤島から10m離れた所に「蝋燭岩」と呼ばれる、先のとがったまるで蝋燭のような岩に死体が串刺しになっている。これを降ろす方法が「こんな事がで、できるのか」との疑問がおこりました。詳しく知りたい方は、是非読んでみてください。でもそんな事は瑣末なことです。
 
 そして、最後の大どんでん返し!!これは想像もしていませんでしたので、ビックリしたのは云うまでもありません。

  加賀美雅之は2002年に『双月城の惨劇』で二階堂黎人の推薦を受けデビュー。二階堂は解説の中で『自分の人狼城の恐怖という作品を、まったくの赤の他人という立場から読んでみたかったという願望がある・・・ 双月城の惨劇で満足させられた』と賛辞を送っている。
 まだ長編3作品と短編集1作品しか出版されていないが、本格ファンを唸らせてくれる作品をこれからも書いて欲しいと切に願う。
                            (阪井 俊夫)
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by mako0491 | 2013-03-05 15:35 | ミステリーの愉しみ