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わかやま新報女性面 (月一回金曜日)記事を発信-NPO法人「和歌山コミュニティ情報研究所」の女性スタッフが取材・編集を担当


by mako0491

桃りゃんせ夢工房



桃ジャム作りの作業現場

桃染め体験、アイロンで形整える

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 地域の活性化に女性グループが大きな力を発揮している。和歌山県下の2つの地域を訪れて、その熱気に触れた。(中村 聖代)

 紀の川市桃山町は、その名が示す通り桃の産地、それも全国的に質の高さ、味の良さで評価の高い「あら 川の桃」の産地である。桃栽培農家主婦たち40名が中心となって平成16年1月に「桃りゃんせ夢工房」を設立。翌17年1月には桃源郷運動公園内に「体験学習館、桃りゃんせ夢工房」ができた。そこを拠点として桃農家ならではの各種活動を行っている。もちろん地場地産にこだわりを持つ。

 【ジャム作り】
 そのままでも十分美味しい「あら川の桃」が原料。冬は冷凍した桃を使うが、桃が出始めると採りたての桃を使う。産地で足りないときは「めっけもん広場」に仕入れに行く。
 取材した日は、ちょうど仕込みの最中で、部屋全体には甘い香りが漂い、出来立てのジャムを味見させてもらった。【体験】では桃の果肉のたくさん入った贅沢なジャムを作り、お気に入りのシールを貼って持って帰れる。また、キウイの出る時期には熟した甘いキウイのジャムを作るそうだ。

 【桃染め体験】
 桃の花や枝を煮て、元になる染液を作る。出来上がった染液に、糊をとるためていねいに洗った生地を浸け、さらに媒染液に浸ける。
 気に入りの色に染まったら、乾かしてアイロンで形を整え出来上がり。自然の恵みをいっぱい含んだ柔らかな風合いのスカーフだ。
 隣で販売している美しい桃色の桃染めは、工程が全く違っていて手間も日にちもかかる。「やり方は『知的所有権』で守られ、秘密です」と体験を指導されていた坂ノ上さん、塩見さんは話す。
 
【味噌】
 紀ノ川の両岸にある那賀地方は、昔からの米どころ。その地元の米と国産大豆を使い、米麹作りから行う体験は、田舎味噌・金山寺味噌それぞれ年一回ずつ。3kgのお土産が付き、半年後の熟成を待ってつぼから出すのが楽しみらしい。また季節限定で桃入り金山寺味噌が販売される。
 その他、こんにゃく作り体験もある。また「あら川の桃」を使った桃パイやパウンドケーキ・コンフィチュール等お菓子の研究もしている。添加物や保存料を一切使っていないお菓子なので、学校給食で使われるよう働きかけている。

 【国、町などと連携】
 国庫の補助を受ける農業経営対策推進事業で、和歌山県ではこの桃山町の高齢者プランが策定された。その結果、地域の活性化に向けた活動の場が確保された。
ピーチレディたちは今も活き活きと桃を使った作品を作り出している。
地域を越えた人ともつながりを深めて、さらなる活躍が期待される。

北山村「かから食の会」人気

都市との交流も深める


 こちら北山村には、農家のシニア女性が運営して、人気を集める、地元産品を活かしたレストランがある。
和歌山県南部の北山村。奈良県と三重県に囲まれて、和歌山県のどこの市町村とも接していない飛び地でも知られる。
 ダム湖畔に建つログハウス風の施設を利用した「北山村かから食の店」(久保岡徳美代表)は、平成18年11月に開店。「かから」とはお母さんたちをさす北山方言である。
メンバーは4人。70歳から60歳代前半までの村に住む女性が立ち上げた。営業は11月から翌年4月までの季節限定で、営業日は原則土日の夜。一日の定員は原則12人、完全予約制である。
・食材は最大限地元のものを使用する。
・野菜は、農薬を使用せず、普段自分たちの食べているものを出す。
・季節の味を守る。
・手間ひまをかけた料理を提供する。
・普段着で接する。
 かからの食の店の基本である。たらの芽やふきのとう、ごんぱちなどの山菜オードブルに、豆乳スープのしし鍋、鮎の串ざしなど多彩なメニューでコース制。料金は3500円、黒もじのお箸や料理を盛る器も手作りである。
 「食を活かした地域づくりを」――ということで始まったが、準備を進めていくうちに自分たちがまず楽しめることが大切だと感じた。
 その楽しさは、「北山らしい料理を提供し、都市の人たちとの交流を広げることにある」と言う。
和歌山大学・行政が軸になっている「きのくに活性化センター」との協働も成果を上げている。メニュー開発・PRなどだ。さらに、日経地域情報化大賞を受けた「村のブログ」を活用して、各地に発信、都市からの客を増やす。
 全国的にも有名になりつつある「じゃばら」、「いかだ下り」の北山村の有力資源に、こうした女性の地元料理店を加えていけば、観光の振興にも大いにプラスになるだろう。
by mako0491 | 2009-02-11 12:46 | アタマ記事