人気ブログランキング | 話題のタグを見る

わかやま新報女性面 (月一回金曜日)記事を発信-NPO法人「和歌山コミュニティ情報研究所」の女性スタッフが取材・編集を担当


by mako0491

音の魅力・魔力 09・2・20


田川寿美の「女人高野」


 和歌山市・築地通の真田掘りに面した小さなスナックーー。彼との関係がうまくいかず、落ち込んでいた時、初めて聴いた「女人高野」の魔力に捕われました。歌うのは田川寿美。作家の五木寛之が作詞したことでも話題に(写真はシングル盤、作曲は幸耕平、2002年発売)。
田川は、和歌山市出身。中学校卒業と同時に上京。92年に「女…ひとり旅」でデビュー。紅白歌合戦には計4回出場している実力派。

 「女人高野」は演歌の歌詞をちょっと逸脱し、メロディーは流麗で、スット心にしみこんできました。
「ひとりで行かせて この奥山は 女人高野と申します 愛も明日も諦めて 涙納めにまいります」
奈良の山深い地にあった室生寺は、真言密教の根本道場である高野山が、厳しく女人禁制を守ったのに対して、女性にも開かれていたため「女人高野」として知られるように。 
歌は途中、童謡調に。
「とうりゃんせ とうりゃんせ ここはどこの細道じゃ 若い命を 惜しむよに 花が散ります はらはらと」、この転調がまたよい。

 彼女の衣装も、着物とドレスが合体した斬新さで、エレキギターをかき鳴らし歌うという、寿美流ニュー演歌の誕生だったのです。
「夢も未練もふり捨てて 命洗いにまいります」、後半のフレーズを聴くと、もう室生寺にお参りした後の、スカッとした気分になっていました。

 ただ最近は阿久悠作詞、堀内孝雄作曲の「花になれ」(04年)がヒットしたぐらいで、新しさ追求もなく、やや精彩を欠いているように思われます。
クロスオーバー的な冒険、例えばタンゴ風な軽快なリズムを取り入れた、あっと言わせる新曲を出してくれないか。まだ30代はじめの若さだけに、もう一段の脱皮を願うのは私だけではないと思います。
                                   (須藤 宥子)
by mako0491 | 2009-02-28 15:09 | 音の魅力・魔力