koube bungakukan
2017年 04月 02日
神戸文学館と
横尾忠則現代美術館
花の便りもちらほら聞こえてくる。今回は神戸まで足を伸ばしてみませんか。桜の名所でもある阪急王子公園駅から5分の「神戸文学館」は、神戸市内に現存する最古のレンガ造りの教会建築。関西学院のチャペルだった=写真。
現在行われている企画展「坂道の情景~神戸を描いた文学」は4月16日まで。(平日AM10-PM6、土日9-5、水休館)
古くは北野の異人館街、そして今も絶え間なく山腹に新たな町が出現している。文学者たちも坂道を舞台にした多彩な神戸の情景を描いている。
岡本の坂の上からの眺望を愛でた谷崎潤一郎、異国情緒あふれるトアロードや異人館街を散策した堀辰雄、北野坂あたりを舞台に選んだ宮本輝…。山の緑と海の青を結ぶ坂道。こんな神戸の風景が創作意欲を刺激しているのかもしれない。
最新ニュースは、神戸市灘区出身の山下澄人さんが第156回芥川賞を受賞。受賞作は演劇に打ち込んでいた若き日々を題材にした「しんせかい」。同文学館では山下さんの受賞を記念して著作などを置いたコーナーを設けている。
道路を挟んで見えるのは「横尾忠則現代美術館」。この26日まで開催しているのは「ようこそ横尾温泉郷」。(AM10-PM6)
女湯の光景をモチーフにした連作が見どころ。まげを結った浮世絵ふうの女性たちが、身体を洗ったりする姿を描いた連作、横尾が幼少時代に見たイメージを反映しつつ、江戸の遊び絵にも通じる仕掛けが画面のあちこちに隠されたユーモアあふれる作品となっている。この「銭湯シリーズ」のほかにも、全国の温泉地を訪れ描いた「温泉シリーズ」がある。
(水上 舞)