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わかやま新報女性面 (月一回金曜日)記事を発信-NPO法人「和歌山コミュニティ情報研究所」の女性スタッフが取材・編集を担当


by mako0491

結婚・出産とキャリア人生考える


8・29掲載

生き方の選択へ情報・知識もしっかり持とう

 東京都議会で起きたセクハラやじ問題が国内外で広く話題になったが、本来、議論せねばならないのは、女性の結婚や出産といった生き方の選択の問題である。

 1年前、少子化対策を議論する政府の有識者会議「少子化危機突破タスクフォース」が検討していた、いわゆる「女性手帳」が賛否両論、物議をかもしたことを覚えているだろうか。

 妊娠・出産の適齢期や高齢出産のリスクといった医学的な知識の普及を図り、知識を持った上での女性の将来設計に役立ててもらうことがねらいだったが、女性の生き方の選択に国が干渉すべきではないといった批判が相次ぎ、結局、手帳の配布は見送られた。
 
 仕事を続けながら、結婚・出産・育児をしてきた一人の女性として、私にも、結婚するかしないか、子どもを持つか持たないか、その選択の時期があった。それは自分のキャリアプランを含めた人生設計を迫られる選択だ。

 まず、結婚の選択では和歌山の地を離れ、住んだこともない東京への転居と転職が伴った。20代の後半には、子どもを持つか持たないかの選択があった。子を持つという選択はキャリアプランにかかわってくる。

 私が選択を迫られた当時も、キャリアウーマンといえば未婚、あるいは既婚でも子どものいないケースが多かった。実際、私がいた部署は「ここは家庭のある人が務まるところじゃない」と言われていた。子どもを育てながら、今の仕事をやりこなせるだろうかという不安や、未婚の同期たちにおいていかれるような焦燥感に駆られた。
 
 根底にあったものは、自分はどう生きて、成長していきたいかという自分の望む人生のあり方だった。選択には情報や知識が必要である。女性手帳の議論が盛んに誌面を賑わせていた頃、女性の年齢と妊娠の関係をもう少し早く知っていれば…という悲痛なコメントに数多く触れた。

 平均寿命がどれだけ延びても生殖年齢は大昔からほとんど変わらないという神秘は、現代を生きる女性たちの人生に選択という宿題を課しているようだ。選択する力を育てることも、大学で保健医療の研究・指導に携わる者としての大きな責務だと感じている。
                                    (石井 敦子)
by mako0491 | 2014-08-27 11:32 | 女の視点