をんな盆踊り旅
2013年 09月 03日
8月30日あたま
徹夜でおどる盆踊り
郡上・白鳥・八尾
今年の盆は猛暑の中で終わった。先祖の魂が帰ってくるという盆。各地で様々な行事があるが、昔から連綿と続く伝統的なもののひとつに盆おどりがある。筆者は今年2ヶ所の徹夜おどりに参加してきた。岐阜県郡上市の代表的な郡上(ぐじょう)おどりと、ご近所の白鳥(しろとり)おどりだ。夜を徹して踊れなかったが、いくつかのおどりについてスケッチしてみよう。
(中村 聖代)
【和歌山県のおどり】
おどりといえば、今年10回目の「おどるんや~紀州よさこい祭り」が8月4日に閉幕した。高知県発祥のよさこい祭りは、「鳴子を持って踊ること」「地元の民謡を曲にとり入れること」などを受けつぎつつ北海道をはじめとして全国各地に広がった。年を追うごとに賑やかになっている。
同時開催の「紀州ぶんだら節」は45周年を迎えた。このおどりは、昭和44年に市政80周年を記念し、郷土芸能の育成・市民相互の連帯意識・郷土愛護観念などを願って作られたものである。
【郡上のおどり】
「郡上の八幡出てゆく時は、雨も降らぬに袖しぼる」 の歌詞で知られる郡上おどりは400年にわたって城下町郡上八幡で歌い踊り続けられている。国重要無形民俗文化財に指定され、「徹夜おどり」としても有名だ。
美しい街並みと水の流れ、鮎の友釣りの風景、橋の欄干から吉田川への飛び込みなど、夏の盆おどりだけでなく映画などでもよく取り上げられる。
下呂温泉や飛騨高山、白川郷への通り道でもあり、秋は紅葉、冬はスキーで観光客が集まるが、「近年は高速道路の影響で、通り過ぎてしまう」と、観光協会の人は言う。
【白鳥おどり】
美濃太田から北濃までの72.1Kmを川と美しい自然に囲まれて進む長良川鉄道がある。この鉄道の「郡上八幡」駅が郡上おどりの最寄り駅であり、そこから30分ほどの駅「美濃白鳥」にも、盆の三が日を徹夜でおどる「白鳥おどり」がある。
こちらはテンポがとても速い。老若男女問わず多くの人で溢れる郡上おどりとは打って変わり、ほとんどが若者で占められる。古くは若い男女がおどりを通じ心を触れ合わせる場だったらしく、おどりにかける想いは熱く深い。
白鳥のもう一つの特徴はキリコ灯籠だ。仏教と深くかかわるキリコ灯籠が、神仏習合の時代に長滝白山神社の拝殿に吊るされたことから各地の神社でも吊るされるようになった。
いずれも、全国から集まった踊り好きと土地の人たちが夜を徹して踊り明かす。非常に盛り上がる一時があるのが面白い。
【風の盆に出発】
渡辺淳一『愛の流刑地』(2006年5月刊)の冒頭で男が女に、「ひょっとしておわらを舞うか」と尋ねる場面がある。石川さゆりの「おわら風の盆恋歌」としても歌われ、高橋治の小説にもなっている「おわら風の盆」は、毎年9月1日から3日にかけて富山県富山市八尾地区で行われる。
越中おわら節の哀切感に満ちた旋律にのって、無言の踊り手たちが洗練された踊りを披露。艶やかで優雅な女踊り、勇壮な男踊り、哀調のある音色を奏でる胡弓の調べなどが来訪者を魅了する。
民衆が育てたおどりがかくも格調高く完成されるのかと思う。1日に訪ねる。
「おわら節」の歌詞も洒落ている。
「仇な色香に 迷いはせねど 実と情けにゃ
オワラ つい迷う」
「逢えば泣く 逢わにゃなお泣く 泣かせる人に
何で泣くほど オワラ 逢いたかろ」
<子宝の湯は駅の改札が入口>
TV番組「あまちゃん」で北三陸鉄道「北鉄」が注目を浴びているが、長良川鉄道「長鉄」も負けず興味深い。沿線に「うだつの上がる街並みの「美濃市」、刃物と鵜飼の町「関市」など、訪ねてみたい町があちこちにある。
そして今回立ち寄ったのは、駅を降りればそこが温泉入口なのである。「日本まん真ん中温泉」というキャッチフレーズが付いている。位置的にそうなるらしい。
大自然の懐中にいるような開放的な露天風呂をはじめ、檜風呂屋や釜風呂などがあり、側を流れる長良川越しに広がる山々を眺めながらの入浴は最高の贅沢だ。
徹夜でおどる盆踊り
郡上・白鳥・八尾
今年の盆は猛暑の中で終わった。先祖の魂が帰ってくるという盆。各地で様々な行事があるが、昔から連綿と続く伝統的なもののひとつに盆おどりがある。筆者は今年2ヶ所の徹夜おどりに参加してきた。岐阜県郡上市の代表的な郡上(ぐじょう)おどりと、ご近所の白鳥(しろとり)おどりだ。夜を徹して踊れなかったが、いくつかのおどりについてスケッチしてみよう。
(中村 聖代)
【和歌山県のおどり】
おどりといえば、今年10回目の「おどるんや~紀州よさこい祭り」が8月4日に閉幕した。高知県発祥のよさこい祭りは、「鳴子を持って踊ること」「地元の民謡を曲にとり入れること」などを受けつぎつつ北海道をはじめとして全国各地に広がった。年を追うごとに賑やかになっている。
同時開催の「紀州ぶんだら節」は45周年を迎えた。このおどりは、昭和44年に市政80周年を記念し、郷土芸能の育成・市民相互の連帯意識・郷土愛護観念などを願って作られたものである。
【郡上のおどり】
「郡上の八幡出てゆく時は、雨も降らぬに袖しぼる」 の歌詞で知られる郡上おどりは400年にわたって城下町郡上八幡で歌い踊り続けられている。国重要無形民俗文化財に指定され、「徹夜おどり」としても有名だ。
美しい街並みと水の流れ、鮎の友釣りの風景、橋の欄干から吉田川への飛び込みなど、夏の盆おどりだけでなく映画などでもよく取り上げられる。
下呂温泉や飛騨高山、白川郷への通り道でもあり、秋は紅葉、冬はスキーで観光客が集まるが、「近年は高速道路の影響で、通り過ぎてしまう」と、観光協会の人は言う。
【白鳥おどり】
美濃太田から北濃までの72.1Kmを川と美しい自然に囲まれて進む長良川鉄道がある。この鉄道の「郡上八幡」駅が郡上おどりの最寄り駅であり、そこから30分ほどの駅「美濃白鳥」にも、盆の三が日を徹夜でおどる「白鳥おどり」がある。
こちらはテンポがとても速い。老若男女問わず多くの人で溢れる郡上おどりとは打って変わり、ほとんどが若者で占められる。古くは若い男女がおどりを通じ心を触れ合わせる場だったらしく、おどりにかける想いは熱く深い。
白鳥のもう一つの特徴はキリコ灯籠だ。仏教と深くかかわるキリコ灯籠が、神仏習合の時代に長滝白山神社の拝殿に吊るされたことから各地の神社でも吊るされるようになった。
いずれも、全国から集まった踊り好きと土地の人たちが夜を徹して踊り明かす。非常に盛り上がる一時があるのが面白い。
【風の盆に出発】
渡辺淳一『愛の流刑地』(2006年5月刊)の冒頭で男が女に、「ひょっとしておわらを舞うか」と尋ねる場面がある。石川さゆりの「おわら風の盆恋歌」としても歌われ、高橋治の小説にもなっている「おわら風の盆」は、毎年9月1日から3日にかけて富山県富山市八尾地区で行われる。
越中おわら節の哀切感に満ちた旋律にのって、無言の踊り手たちが洗練された踊りを披露。艶やかで優雅な女踊り、勇壮な男踊り、哀調のある音色を奏でる胡弓の調べなどが来訪者を魅了する。
民衆が育てたおどりがかくも格調高く完成されるのかと思う。1日に訪ねる。
「おわら節」の歌詞も洒落ている。
「仇な色香に 迷いはせねど 実と情けにゃ
オワラ つい迷う」
「逢えば泣く 逢わにゃなお泣く 泣かせる人に
何で泣くほど オワラ 逢いたかろ」
<子宝の湯は駅の改札が入口>
TV番組「あまちゃん」で北三陸鉄道「北鉄」が注目を浴びているが、長良川鉄道「長鉄」も負けず興味深い。沿線に「うだつの上がる街並みの「美濃市」、刃物と鵜飼の町「関市」など、訪ねてみたい町があちこちにある。
そして今回立ち寄ったのは、駅を降りればそこが温泉入口なのである。「日本まん真ん中温泉」というキャッチフレーズが付いている。位置的にそうなるらしい。
大自然の懐中にいるような開放的な露天風呂をはじめ、檜風呂屋や釜風呂などがあり、側を流れる長良川越しに広がる山々を眺めながらの入浴は最高の贅沢だ。
by mako0491
| 2013-09-03 18:06
| アタマ記事