北欧4カ国現場スケッチ
2012年 05月 29日
女性議員の数ほぼ同じ
ファッション度高い
幸福度それぞれが一番
アパレルの「H&М」・家具の「IKEA」はスェーデン、ムーミンはフィンランド、バイキングのノルウェー、デンマークは人魚姫――その程度の知識しか持ち合わせない北欧4か国。スェーデンモデル―胎児から墓場まで―といった高福祉・高負担国家の国々を駆け足で訪れ、その垣間見た様子をスケッチしてみた。
(中村 聖代)
【バイキングが祖先】
自然の彫刻、氷河が岩を削ってできたフィヨルドは、スカンジナビア半島のノルウェー側にあたる北・西部に多く見られる。我々が最初に訪れたところだ。
ノルウェー人はバイキング(海賊)の血が流れていることにかなりの誇りとこだわりがあるようだ。「バイキングは風邪なんてひかない」「バイキングはこんな痛みなんて感じない」等々、自分を励ます時に使っているらしい。
ビッフエ形式―食べ放題の食事形態を我々日本人は「バイキング」と呼んでいるが、やはり起源はノルウェーで、たくさんの人を招く際の最も一般的なもてなし料理だという。
【シニア女性と会話】
ソグネフィヨルドからバスや鉄道を利用してオスロへ、そこからクルーズで1泊しつつデンマークに行った。といっても半日、コペンハーゲンに寄っただけだの話だが。
船内で話しかけてきた2人のデンマーク人元女性教師が「村上春樹」のファンだという。「ノルウエイの森」は海外でも絶大な人気を誇り、他の多くの作品も翻訳されているが、日本のことをほとんど何も知らない人たちが「ハルキ」を知っているとは驚きだ。
ちなみに北欧はそれぞれの国の言葉を話すが、どの国民もほぼ全員英語が話せるので、南欧に比べてずっと楽だ。
【かもめのヘルシンキ】
女流監督の日本映画「かもめ食堂」で一躍注目を浴びたヘルシンキ―ファッションブランド「マリメッコ」や食器メーカー「イッタラ」の国だ。残念ながら実在する食堂「カフェ スオミ」には行けなかったが、ロケ地の一部、港に面した「マーケット広場」を訪れた。かもめがたくさん飛び交い、現地の人たちがテントの内外で食事や買い物を楽しんでいた。
【女性で熱気】
H&М は、スウェーデンのアパレルメーカー。低価格かつファッション性の高い服で世界的に人気を集め、最近東京や大阪にも上陸し、話題になった。「ユニクロ」や「GAP」と比較されることが多いが、カジュアルな服だけでなく、ワンピースやドレス、ジャケットやスーツなどフォーマル服が充実しており、有名デザイナーによるラインナップや、マドンナ、カイリー・ミノーグなどとのコラボレーション商品も発売したことがある。
本場ストックホルムでは、そこかしこにH&Мの店舗が見られ、買い物客で溢れていた。どこの女子も買い物には目がなく、同じ熱を感じた。
【クオータ制】
クオータ制(割り当て。政治における男女間格差を是正するための暫定的な方策。議員・閣僚などの一定枠を両ジェンダーに割り当てる制度)の発祥地はノルウェーだが、当初はノルウェーよりもデンマークやスウェーデンに浸透していき、欧州から男女平等の民主主義国家をめざす世界各国へと普及している。
韓国やギリシャはクオータ制を含んだ法整備が済み、イタリア、ドイツが法整備の準備中。ニュージーランド、アメリカ合衆国、日本、トルコなどでは、採用していないか野党の一部が採用しているだけとなっている。
スウェーデンにはクオータ制の法律はないが、「民主主義の基本は議会に男女が同数いること」、「男女同数は民主主義のスタート地点」ということで、比例代表名簿は男女交互になっている。
「現在、スエーデン議会の51%は女性議員」と案内する現地日本人ガイドは、ここに長年住んでいるが、クオータ制そのものがあることを知らなかった。男女差を感じさせないほど優秀な女性議員たちがいるせいだろう。
【結婚制度に拘らず】
消費税や所得税が格段に高い北欧の国々だが、手厚い保障制度のおかげで、全く心配のない生活を送っているようだ。貯金をする習慣がないのはその必要がないからだし、結婚制度に拘らないのは、宗教感もさることながら、未婚で子供がいても何ら問題がないからだ。
面白いのは、訪れた4か国のそれぞれの人たちは自国民が一番恵まれていると感じていることである。
by mako0491
| 2012-05-29 10:33
| アタマ記事